Web制作からメディア運営、シェアオフィス・ゲストハウスまで、多岐にわたる事業を行う株式会社LIG。LIGは「Life Is Good」の略であり、「人生は素晴らしい」と思えるようなクリエイティブを日々制作されています。
そんな同社が「自社の社員」をライターとして運営するメディア「LIGブログ」の編集長である朽木氏は大学時代からフリーライターとして活動、新卒でLIGに入社されたそうです。最近ではデジタルハリウッド大学やschooなどでライター教育にも活動の幅を広げる朽木氏に、ライティング、メディア運営について伺いました。
ウィルゲートの事業戦略室の部長であり、「暮らしニスタ」の責任者を務める林圭介との対談第2弾をお送りします。
朽木 誠一郎(くちき・せいいちろう)
1986年生まれ。茨城県出身。
株式会社LIGのオウンドメディア、「LIGブログ」の編集長として運営・企画・編集・執筆を担当。
国立大学の医学部在学中にフリーライターとしての活動を始め、卒業後に同社に新卒入社。
座右の銘は「憎まれっ子この世に憚る」とのこと。
本日朽木さんとお話しできることをとても楽しみにしていました。実は2年ほど前に朽木さんが書かれた、「正しい匙の投げ方」という記事を読んで、僕は朽木さんを知ったんです。
あの記事を読んでいるなんてめずらしいですよ(笑)
でも、「朽木さんがどんな人なのか」ということはあまり知らないので、今日はいろいろなお話ができればと思っています。
よろしくお願いします。
朽木さんは何年前にLIGにジョインされたのですか?
1年前です。去年の4月に正式にジョインしました。 僕は大学に通いながらフリーライターをしていたので、ライター歴は今年で5年目です。それまでは大手媒体の恋愛コラムや、先ほどの「正しい匙の投げ方」ようなエンタメ記事、その他にもLPのテキスト等、幅広くライティングしていました。
いつ頃から「ライターの道に進もう」と考えていたんですか?
きっかけは留年したことです(笑)その期間にもともとやりたかった「書くこと」に取り組み始めて。原稿を書いてあちこちのメディア運営会社さんへの持ち込みをスタートして、少しずついろいろな媒体で執筆させていただけるようになりました。
LIGとはどのように出会ったんですか?
LIGのメディア事業部長(当時)に出会ったのがきっかけですね。学生ライターとして、奨学金と原稿料で生活をしていたのですが、それだけだとつまらないというか、もっと「自分が興味のあることや楽しいと思えることについて書きたい!」という気持ちがあって。でも、それができるのは本当に有名な作家やコラムニストだけで、まだ自分がそのレベルではないことも分かっていました。
当時、その事業部長が担当していたエンタメ系のメディアは「なんでも書いて良い」というスタンスで、かつ報酬もありました。「プロのライターとしてなんでも書いて良い」というチャンスを頂けたのはとても魅力的だったので。当初は外部ライターとしてLIGに関わり、大学を卒業した時点でジョインしました。
朽木さんがLIGに入られたころには、ブログの形式ってしっかり決まっていたんですか?
当時も今も、社員による日常業務のアウトプットがメインです。もともとLIGブログは面白系の記事が話題になることが多かったのですが、ほとんどの記事はWeb制作に関するまじめなハウツー、ビジネスのノウハウ記事なんです。また、僕がジョインした頃からはLIGとして取りたいキーワードをリストアップして、それについて書くようにもなりました。事業についてインバウンドでお問い合わせが来るように、キーワードを使って戦略的な運営をはじめたんです。バズを意識するだけでなく、このようにSEOというか、良いコンテンツを作った上で、それをどう検索上位に持ってくるか、ということに注力しています。
なるほど。LIGブログ内では面白系2割、通常の記事8割という配分をされているとお伺いしたのですが、これはどのような意図からでしょうか?
話題になるような面白系のコンテンツはブログ開始時から代表の吉原がほぼ一貫して作っています。現在は面白系コンテンツの制作チームを吉原が率いていて、僕はほとんどそこにノータッチです。この2割の部分でメディアの見え方は決まると思っていて、そのブランディングはLIGブログの立ち上げ当初からプロデューサーをしている吉原が担っており、あとの8割の真面目記事でどれだけ会社のためになれるか、を僕が任されています。
オウンドメディアなので、「会社の利益」が最重要ミッションです。広報的な利益としては認知の拡大があり、認知の拡大の指標としてはPVを獲得することがあります。そのためにはSEOに取り組むべきじゃないかなと考えています。
では記事のテーマや組み込むキーワードの分析にかなり注力されていらっしゃるんですね。
そうですね。PVは通常、積み上げ式にしか獲得できないものだと思うのですが、逆算で組み立てられないとメディア運営が安定しないので。そのためにSEOの観点は必要ですよね。
例えば目標が100万PVだったら、「現在の検索流入の成長率が110%だから今月は10万PVの増加、1本3万PV位とれそうな記事をキーワードのボリュームや競合を加味して20本入れて60万PV、おそらくバズるであろう記事をこれだけ用意して30万PV」、という試算ができます。
なるほど。ちなみに、真面目系の8割の記事をライティングのプロでない社員が書くというのは、編集に携わる人間としてかなり特異な体制だな、と思っていて。
そう思われますよね。僕がジョインする前も実はメディア運営の経験者がいない状態で、手探りで運営されていたんです。以前は誤字脱字の修正=編集、という認識だったのですが、僕は初めて編集の専任になったので、文章の構成に大きく手を入れることも始めました。当時はメンバーからも「何で文章を勝手に変えるのか」という意見がよく上がりましたね。
初めは社員のみなさんから編集に意見もあったんですね。
そうですね。ただ、適切にフィードバックすることで社全体のライティングの底力がついてきたと実感しています。
なので、その8割の真面目系記事で「今記事作成やメディア運営の際に適切なキーワード」を分析して考えていたりするんですが、これは正しいSEOと言っても間違いないですか?
正しいSEOの認識ですよ。かつ、僕達もコンテンツマーケティング事業を行っていく中で、一番人々にとって汎用性があって、特に効果が高いものがSEO対策と考えています。
そのSEO対策の中には「キーワード調査をしてサイトの適切な構造を考え、そのコンテンツがペルソナにとって適切か」というプロセスも入ってくるんですよ。「これらもSEOなんですか?」とおっしゃる方もたくさんいらっしゃるんですが、実はそうなんです。
なるほど、そうやって考えるとSEOに強いウィルゲートさんがコンテンツマーケティングを行っていくことも納得できますね。
朽木さんの中で、日々「この記事でこのくらい読まれるだろう」と予測はしているんですか?
ある程度はしていますね。コンテンツが読まれるかどうかは経験的なものだと思っていて、読まれる感覚は運営を継続する中で少しずつ分かってきました。
やっぱり記事が読者に読まれるか否かって、テイスト等の観点で自分にはまる記事を見つけられるかどうかだと思うんです。例えば「僕の属性でこういうテーマで、こんなテイストでここにこの要素を入れたらこれくらい流入を獲得できるんじゃないか」、と狙って書いてるものもあるんですよね。やっているうちに肌感として分かってきます。
Webライティングしてきた人の肌感、ってことですね。
そうですね、その感覚はライティングを通して成長し得るものだと思います。
これまでお話を伺って、運営上はバズよりもむしろ戦略的にSEOを意識していらっしゃるという印象を受けました。
バズを狙うというのは相手がいることですから、あくまでメディア運営上の話になりますが、正直検索で流入を取ったほうがコストパフォーマンスは断然いいんですよ。
例えば、「仕事ができる人と仕事ができない人の5つの違い」という記事があります。
これが実は僕の書いた記事の中で一番読まれていて。何故かというと、「仕事ができる」で検索した際で2位に、また「仕事ができない」で1位に表示されるんですよね。「仕事ができない」系のキーワードってとてもボリュームがあって、この記事は半年間で月間5万PVずつ獲得しているんです。
バズらせるために企画に時間をかなり割いた記事で10万PVを狙うのと、SEOを加味した5万PVの記事で累計30万PV狙うのとでは、コスパは確実に後者が優秀です。先ほどの「仕事」の記事は、正直ライティングにそこまで時間をかけたものではないので。時間をかけて書いた記事がヒットすればブランドの向上に大きく寄与しますし、ライターとしては狙っていきたい。ただこれは誰にでもできることではなく、相当な実力が必要です。
メディアの運営者視点で見た時に、「本当に必要なものはなにか」を冷静に、客観的にジャッジできるようにしておく必要があるなと最近強く思います。
僕も暮らしニスタの運営をする中でコンテンツのポートフォリオを組んでいて。例えば「SEO的に狙う記事は主に順位やPVで、バズ系はリツイートなどのソーシャルアクションや獲得したナチュラルリンクの量で効果を測る」、のようにコンテンツの種別によって効果測定の方法を変えているんです。朽木さんはどんな部分を効果として見ていますか?
LIGもそうです。特に、ソーシャルでの反響は細かくチェックしてコンテンツ制作に反映しています。あらかじめペルソナやどれくらい読まれるかの仮説を立てた上で、「このコンテンツは誰に受けたのか」や「こういう投稿にはこれくらいソーシャルアクションがある」と検証することで、以降のコンテンツに、そしてライティングや編集のスキルにも還元できると思うんです。なので、ソーシャルアクションを効果として見ることは重要ではないでしょうか。
また、テクニック的になりますが、例えば、SNSでの告知の文章って、文字数に制限があるので短いですよね。そこに何をどう書くかで、ソーシャルの動きって変わると思うんです。ここに注力することで、コンテンツが良質なことは前提ですが、拡散するための技術って上がっていくと思っています。伝えるのも広げるのも自分次第じゃないですか。これはライターというよりは編集者の側面かもしれないのですが、このテクニックを磨くことも意識しています。
なるほど。朽木さんの行われているこれらってソーシャルメディアマーケティングだなと思うのですが、このスキルはどこで身に付いたのでしょうか?
こういうスキルをLIGで学びました。もともと僕は編集やライティングだけできればいいと思っていたんですが、編集長になるまでに行った営業や企画などのさまざまな仕事で、かなりビジネス視点がつきました。メディアを取り巻く全体像が見えた上で、編集やライティングの業務に当たることで、実践的な運営能力を身に付けることができました。
林さんはオウンドメディアのブームって今後も続くと思いますか?
ある程度は続くと思いますね。ただし今はバズワードのように過剰に流行していると思います。
個人的にはすべての会社が作るべきかというと、そうではないと思うんです。業種や業態、状況を加味してしっかり判断する必要があって。
会社によって抱える課題は違いますもんね。
そうですよね。あとはその企業のフェーズだと思います。コンテンツマーケティングは長期的に結果が出る良い施策ですが、例えば直近の短期的な結果を求めている会社がこの施策に注力する、ということはあまり的を得ていないですよね。
おそらくあと1年しないうちに、コンセプトがしっかりしていない段階でオウンドメディアを始めた会社が「この施策をすべきだったのだろうか」と思い始めると思うんですよね。
そうですね。月並みな表現ですが、オウンドメディアの成功には「目的を明確にしてつくること」が不可欠だと思います。コンテンツマーケティング事業を行うウィルゲートとしては、企業にその時にあった適切な施策をコンサルティングしたいですね。
最後に、今後朽木さんはLIGブログをどうしていきたいと考えていますか。
そうですね、そもそもオウンドメディアなので、僕がどうしていきのかたいというよりも、企業としてどうしていきたいのかになるかと思います。現在およそ月間600万PVなので、直近の目標としてオウンドメディアで1,000万PVというのはあります。
かつ、PV以外に「愛着やファンの増加」という指標をどこに置くかをずっと考えています。 ですので、「とにかく1,000万PVを達成する」のではなく、リピート率や回遊率などが上がった結果1,000万PVを獲得できるメディアになることを目指したいです。それがオウンドメディアとして本当の意味での成長なのかもしれません。
また、新しいLIGを更に広報したいとも思っています。主力のWeb制作、メディアの他にコワーキングスペースやゲストハウスも事業として取り組んでいるので、 LIGブログを通してこういった他事業、そしてLIGの理念である「Life is Good」を広めていきたいですね。
学生時代にライターを始めてから現在は編集長をご経験をされている朽木さん。視点が非常に多岐にわたり、学びが多くありました。私達もこれらを念頭に置き、ウィルログのコンテンツをより多くの方に読んでいただくために、そしてメディアを成長させるために日々精進していきたいと思います。
朽木さん、ありがとうございました!
公開日: 2015/07/29